ある競泳選手の死
2006年3月に、日本体育大学水泳部の宮嶋武広という自由形の選手が中国で合宿中、練習中に亡くなるという事がありました。
僕は水泳ファンなので、このニュースには当時ショックを受けました。『練習中に』という事がショックだったのです。
宮嶋選手は日本選手権の1500m自由形でも2位に入るなど、実力のある選手でした。とても残念でした。
自由形長距離で、しかも強豪日本体育大学の水泳選手ですから、練習も相当ハードだったはずです。
その後、この出来事の展開を見ていましたが、日本体育大学が日本水泳連盟に、「突然死」だったと届けて、それを日本水泳連盟がすんなり受け取って、事態は終わってしまいました。
司法解剖などはしなかったのでしょうか?
僕は水泳ファンなので、水泳選手が『練習中』に死んで欲しくはありません。原因究明をもっとやって報告して欲しかった。
しかし、原因が、「無理な練習」であるとすれば、事態は複雑になります。
なぜなら、スポーツ選手が競技力をつけるには、「無理な練習」が必要だからです。
仮に、宮嶋選手の死因が「無理な練習」であったとして、日本水泳連盟なり、厚生労働省なり、文部科学省なりが、水泳選手全般に向けて、「無理な練習をするな」と通達を出したら、日本の競泳のレベルは下がると思います。
何度も書いているように、僕は水泳ファンなので、日本人の水泳選手が頑張って、日本の水泳のレベルを上げて欲しいし、日本の水泳のレベルを世界でトップにして欲しい。
しかし、こういった事件がきっかけで、日本の水泳レベルが下がるのは、それはまた残念です。ここにジレンマが発生します。
報告した日本体育大学も、報告を受理した日本水泳連盟にも、前述したジレンマがあったはずです。
死因を究明して、報告して今後の事故発生を未然に防ぐようにして欲しいと思っている、一個人の僕でさえジレンマを感じてしまいます。
ただ、思うのは宮嶋選手のご冥福と、水泳界に少しでも事故につながるような事はして欲しくないという事です(練習の前日に酒盛りをしたり等など(そんな事はないと信じてますが・・・))。
こうして、宮嶋選手死亡の出来事は静かに消えていきました(死亡事故当時)。
勿論、水泳業界には、素人の僕の知りえない、様々な教訓などが流れているかもしれません。隠蔽することは余り好ましい行為とは思えませんが、知る必要のない事を無理に知る事も又必要ないと思います。
僕自身、この出来事に未だに答えを出せていません。
水泳界をはじめ、水泳ファンの方も含めて、みなさんはどのような答えを出したのでしょうか?
宮嶋選手のご冥福をお祈りします。
追記:この度(2008年2月現在)、宮嶋武広選手の両親が日体大とコーチを相手取って、損害賠償訴訟を起こしました。
この記事からしばらくしてから、雑誌に宮嶋選手の事故の事が載っていて読んだのですが、その記事が本当だとすれば、日体大側の事故を隠蔽しようとした行動は非難すべきものであるし(結局、宮嶋選手の両親の願い叶わず、司法解剖も行政解剖もされなかったようです)、今後、高地トレーニングをする水泳関係者全員は万全の準備の下、高地トレーニングに望んで欲しいものです。
以前、話題になった、力士への練習中のリンチによる死亡事故も思い出しますが、このままアスリートが練習中に死亡するような事故が続くようであれば、厚生労働省、文部科学省は練習の強度が極めて高い場合に対応するガイドラインを作らざるを得ないかもしれません。
この間も、明治大学応援団リーダー部の団員が自殺する事件が起こり、その原因が他の団員のリンチとも言えるようなシゴキだったとして、明治大学応援団リーダー部が解散させられていましたが、所謂『体育会系』の持つ体質の変容を求めたいと思います。
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